2011/11/27 10:50:46
古川聡(JAXA宇宙飛行士)
地球帰還当日、気分は最高だが身体はまるで軟体動物のよう。身体の重心がどこだか全く分からず、立っていられない、歩けない。平衡感覚がわからず、下を見ると頭がくらくらして気分が悪くなる。歩くつもりで足を出すが、太腿が思っているほど上がっておらずつまずく。
Astro_Satoshi 古川聡(JAXA宇宙飛行士)
無重量環境では、自分の脚の重さを考えないでよいので、わずかな力で脚を上げることができた。地上でも脳は、わずかに脚の筋肉を動かすことで歩けると判断して指令を出した。しかし、地上では太腿はほとんど上がっておらずつまずきやすかったものと推測。
Astro_Satoshi 古川聡(JAXA宇宙飛行士)
ドクターの観点から。重力は、耳の奥にある前庭という部分で感知される。前庭がすっかり無重量環境に慣れてしまったため、再び重力に適応するための過程だったのであろう。
――――――――――
ほんとに読めば読むほど、産まれたばかりの赤ちゃんの気持ちだな、って思います。
こんな赤ちゃんが安定して地球の重力に慣れていくための研究もかなりされています。
ライナスの毛布-security branket-の考え方は随分と前から心理学の世界にはあるようです。
宇宙空間でもこれを身体的に補完するものとして、研究されています。
微小重力環境の「ライナスの毛布」
http://iss.jaxa.jp/utiliz/spaceculture/report/aas/AAS2001-2003/linus/linus_index.html
今年、新たにべびぃケアセミナーを立ち上げるに当たり、いろいろと調べている中で見つけました。
もう、考え方いっしょじゃん!!
宇宙空間での大人の姿勢は、胎児新生児と一緒です。
ちょっとややこしいけど、下記を引用させていただきます。
――――――――――
触覚の本質は、触ることがつねに触られることでもあるという相互性にある。生体は、視覚的に世界 を表象・了解する以前に、隣接世界とのたえざる触覚的インタラクションを通して自らを包む環境の中に恒常的な不変項の存在を感じ取り、それとのつながりの 中でそのつど自己の基盤を形成/再形成しているのである。
われわれの研究は、空間感覚を基礎づけるものとしての「身体的接触」というファクターに注目するものであった。われわれの身体が何ものとも接触せず虚空に 浮かんでいるとすれば、その「解放」状態はただちに心理的生理的不安定を引き起す。この点に関連する事実として以下の点があげられる。これらはわれわれが μG実験でえた考察結果と矛盾しない。
(1) SAS(宇宙不適応症候群)は、マーキュリーやジェミニなど、排便などの身動きすら苦労するほどの狭い宇宙船内ではほとんど見られず、比較的広いアポロ宇宙船の時代以降に問題になってきた。
――――――――――
胎内は無重力だけど、水の抵抗があり、子宮という柔らかくしっかりとしたものに包まれている
うまれてくると、子宮も水もなくなり、すかすかの空間に放り出される
しかもGがかかるので、重くて重くて仕方ない
これが赤ちゃんの身体感覚かなと思います。
私たちは、べびぃの発達に見合った姿勢を保つように育てよう、といってきています。
定頸するまでの発達に見合った姿勢は、理論的には四肢は立体的MW、左右対称、全体後湾です。
ただ、べびぃによってその時の快適さには違いがあります。
まるく「する」、というのは、べびぃによっての違いを無視した表現となります。
これでは、べびぃと表している意味がない。
べびぃの発達に見合った姿勢とは、べびぃが最もリラックスして快状態を維持できる姿勢、でしょうか。
漢字ばかり並んで、まどろっこしい表現でややこしいのですが、
こう表すと、「うちの子はどうなったら、リラックスできるかな?」
「発達に見合った姿勢につらくなく近づけるかな?」という考え方になっていただけるでしょうか。
結論としてまるく「する」のではなく、まるく「なる」
古川さんの表現をもとに、赤ちゃんの楽チン、や安定感を想像してみませんか?
PR